週に1回行ってもいい場所ができるのが嬉しい。休職中に出会った新しい働き方。
ゆきのさん(22歳・仮名)からユキサキチャットに相談があったのは2021年でした。就職した後に、連勤が続いたり、休みが少ない中で働く中、ゆきのさんはだんだん会社に行けなくなったそうです。
「朝電車に乗って職場に通っている時に、目的地の駅までたどり着けなくなって途中下車したり。駅で電車に乗れなくなったりとか。だんだん職場まで行けなくなって…そのあと病院とかにもいろいろ行って、職場の方からちょっと休職をした方がいいということで。休職することになりました。」
今の自分を認めてくれていないのかなと思ったり
その時のゆきのさんは、ご自身の状況をご両親に相談できなかったそうです。
「連絡はとるんですけど結構ギリギリになるまで何も言えなくて。仕事についての悩みも全然言えなくて。『もうそろそろやばいから休職します…』ってなってもまだ言えなくて。休職した後に『実は休職しました』と。」
「両親に対して、自分の精神疾患の説明をしたりとか、仕事のことをこうなってこうなりましたみたいな報告をした時に、あんまり理解を得られなかったというか。『みんな大変な思いで働いているからもうちょっと頑張ったらよかったんじゃないの』といわれたり、私が仕事を休んでいることを祖父母に隠しているみたいで。今の状態を何もない、なかったことにされていることが今の自分を認めてくれていないのかなと思ったりして。それを言われ続けるような環境にちょっといたくないなって。」
食べ物をいただくってことはまだ生きていてもいいんだな
そんな時に、ゆきのさんからユキサキチャットに相談がありました。ゆきのさんの状況を聞き、食糧と現金給付をスタート。食糧を届けた時のことを聞いてみました。
「食べ物を、買いに行けなかったので。(ユキサキチャットで届けた食糧の中に)いろんな種類の物が入っていて。食べ物だ!と思って。それが一番最初で。」
「ちょっと大袈裟かもしれないんですけど、食べ物をいただくってことは食べてもよくって。ってことは、『まだ生きていてもいいんだな』というふうに思ったことが自分でも強くて。」
ユキサキチャットに相談する前、ゆきのさんはあまりご飯を食べられなかったと言います。以前は料理をすることが好きだったそうですが、料理をする意欲も低下してできなくなっていました。外に出るのも2週間に1回くらい。家に食べるものもないけど買いにいくこともなく食べない生活を送っていました。
ユキサキチャットからはゼリーや、火を使わなくてもそのまますぐ食べることができるものを送っていました。だんだんレンジを使ったりガス使ってお湯を沸かしたりして、麺を入れてみようかなという気持ちになっていきました。今はごはんを3食作っているそうです。
ひとつひとつ解決だったり、改善だったりに、つなげてくれる
ユキサキチャットはLINEだからこそ相談しやすかったと話します。
「LINEを使ってやるのが本当にやりやすくて。何か相談したいことが自分の中に無意識的にあっても、それを全部は口に出して言えないことがあって。ひとつずつ話を聞いてくださって、他に何かあったらなんでも教えてくださいみたいな感じで聞いてくれるので。そういえばこれも気になるなみたいな感じで相談したりとか。困っていることを、より具体的に聞いてくれて、ひとつひとつ解決だったり、改善だったりとかに、つなげてくれる。すごくありがたいと思っています。」
週に1回行ってもいい場所ができるのが、私はそれがすごく嬉しい
ひとり暮らしをしていたゆきのさんは、元職場があった地域から、別の場所に引っ越しました。ゆきのさんは現在休職中ですが、nimo alcamoさんが実施するプロジェクト※に参加をしました。
※しごとの間借りプロジェクト 今すぐ働くことに難しさを感じている人へ、小さく働き、一歩踏み出すきっかけを作ることを目的としたプロジェクト
ユキサキチャットからゆきのさんにこのプロジェクトがあることを伝えました。その後ゆきのさんは「チャイ」のギフト化をめざすコースに応募しました。
「nimo alcamoの古市さんからお話を伺って。ちょっと応募してみようかなって。」
「面接があって、結果がわかるまでの1ヶ月落ちたんだとか、受かったんだろうかとずっとどきどきしていて。でもそのあと連絡がきて採用というか合格というか。私もメンバーに入れるってなって。すっごく喜んで。仕事の内定をいただいた時よりも正直めちゃくちゃ嬉しくて。」
ゆきのさんは大学生の時にチャイにはまり、スパイスを買ってきて家でチャイを作っていたそうです。
「自分でスパイスを潰すと、そのスパイスを潰すときの感触とか、音とか、あと潰したら香りもフワッと広がるのでそれが結構楽しかったり。音も。」
「なんだろう、自分の好きなチャイを仕事にできて、そして週に1回行ってもいい場所ができるのが、私はそれがすごく嬉しくて。家でチャイとかお茶を入れるのは全く苦じゃなく呼吸をするようにできたりするので。そうゆうことから仕事にできたら、社会復帰のとっかかりになるんじゃないかと思ってすごく参加したくて。」
「それを紹介してくれた(ユキサキチャットの)相談員の方にすごく感謝していますし、合格採用?のお知らせがきた後に、すぐにチャットで決まりましたと報告をしました。」
週に1回メンバーで集まってチャイのレシピを考えたり、Instagramにのせる素材の写真を撮ったり。ゆきのさんは、行ったあとは達成感がある状態で帰ってこれたと話します。参加しやすいことと、参加メンバーはどこかしら共通点があるので、プライベートのことを少しずつ相談して、情報交換できる場になっていったそうです。
しごとの間借りプロジェクトではチャイのギフトブランドの立ち上げのクラウドファンディングを行い、目標金額100万円を達成しています。リターンの1つであるチャイの発送は4月を予定しているとのこと。出会ったメンバーとのつながりは今後も大事にしていきたいと話します。
今日も頑張った、よし帰ろうってなれるような職場がいい
「今日も頑張ろうくらいには、思えるくらいの職場がいいなと思っていて。」
「こんな結果が生まれたぞと、目に見えても見えなくても達成感が自分で感じられたりとか。それで商品ができるとか、売り上げがでたとか、誰かに届いたとか、そんなふうに仕事を頑張って、自分も達成感が得られるものがあってその結果誰かの何かがよくなったり、目の前のお客さんに気持ちとかが届いたとか、商品が届いて喜んでもらえたとか。今日も頑張った、よし帰ろうってなれるような職場がいいって思います。」