「私がなにか意見しても真面目に取り合ってくれない」13~25歳106名に聞いた子どもの権利が守られていないとき
11月20日は、世界こどもの日。1989年の11月20日、すべての子どもに人権を保障する初めての国際条約『子どもの権利条約』が、国連総会で採択されました。
子どもの権利は18歳以下のみなさんも、大人と同じように「様々な権利がある」ことを定めた国際的な条約です。日本は1994年にこの条約に入りました。そして、2022年6月にこの子どもの権利を守るための法律「こども基本法」が日本で成立しました。
しかし、昨今の子どもが関係するニュースを見ると、子どもの権利が守られていないと感じる場面が多いです。
2022年10月31日(月)〜11月7日(月)まで、ユキサキチャットに登録している13~25歳を対象に「子どもの権利」の一部をクイズ形式にし、アンケートを実施。106名が回答しました。
子どもの権利とは?
「子どもの権利条約」は、子ども(18歳未満)もおとなと同じく、ひとりの人間としてさまざまな権利を持っていると認めています。
大きくわけると次の4つがあります。
❶生きる権利
住む場所や食べ物があり、 医療を受けられるなど、命が守られること
❷育つ権利
勉強したり、遊んだり、休んだりして、もって生まれた能力を十分に伸ばしながら成長できること
❸守られる権利
あらゆる暴力や搾取(お金や自由を奪うこと)、有害な労働などから守られること
❹(意見を表明し)参加する権利
自由に意見を表したり、団体を作ったりできること
子どもの権利が条約によって定められていることを知っていますか?
子どもの権利が守られていないと感じるときはありますか?
実施したクイズの内容と答え
Q 全ての子どもはあらゆる暴力から守られる権利を持っている
→◯(権利を持っています)
殴る・蹴るなどの体罰やDV、暴言、あなたが望まない性的な行為も暴力行為です。これらの行為が、家族や彼氏・彼女などの交際相手など身近な関係の人からであっても、あなたは守られる権利を持っています。
Q 子どもは自分に関係することについて自由に意見をいうことができ、その意見は正当に扱われる権利を持っている
→◯(権利をもっています)
子どものいうことだから、と雑に扱われず、ひとりの人の意見として正当に扱われる権利を持っています。おとなはその意見を子どもの発達に応じて十分に考えます。
Q 子どもは遊んだり、休んだりする権利を持っている
→◯(権利を持っています)
子どもは自分の意思で、遊びや休みを決める権利があります。
生活の場面では、学校やご家族と話し合う場面もあると思います。意見を言っても聞き入れてもらえず、学校や塾などを強制されているという声もユキサキチャットでは聞いています。子どもの意見や気持ちを尊重して大人に「あなたにとってもっともよいことを考えてもらう」権利があります。この権利はなかなかおとな側に浸透していないのではないかなと思うことが多いです。今後も10代のみなさんの意見や気持ちをたくさん発信して、おとなは「子どもにとってもっともよいこと」を考える必要があると伝えていきます。
Q 子どもは必要な医療、社会福祉制度などを利用し、十分な生活を送る権利を持っている
→◯(権利を持っています)
ご家族などと暮らしている場合、なかなか1人で病院に行くことは難しいかもしれません。病気への理解が得られない、親にバレたくないなどの声をユキサキチャットで聞くことがあります。学校の先生や保健室の先生など身近なおとなに「病院にいきたい」と相談して協力してもらったり、住んでいる地域の、健康相談や精神保健センターに相談してみるのもありです。
ユキサキチャットでは医療的なことや健康についてはお伝えできませんが、あなたの住んでいる地域の人に連絡し、病院に行けるようにはたらきかけるなどのサポートをすることはできます。だれに言ったらいいかわからないときは、ユキサキチャットに教えてくださいね。
Q 子どもは、大人のいうことを聞くなどの義務や責任を果たすことで権利を得ることができる
→×
ここに書かれている子どもの権利は、「人権」にあたるものです。
人権は、「それが否定されたら、人間として生きていくことができなくなるという最低限の条件」を定めています。だから、たとえ義務を果たさない人であっても、ひとりの人間として人権を主張することは許されます。
よく、「税金を払ってないのに、権利を主張するな!」というような声も見聞きされます。でも、仕事をしていなくても、税金を滞納していたとしても選挙に行って選挙権を行使することはできます。人権のなかでは意見を言うこと、自由に表現できることは「人間として生きていくための必要条件」にはいります。
同じように、「〇〇をしないと、子どもの権利はない」というのは間違いです。
Q 子どもに関することが行なわれる、決められるときは「その子どもにとってもっともよいこと」はなにかを考えて決められる
→◯(権利がある)
子ども本人たちの声や、様々な研究データなどを見ながら、「子どもにとってもっともよいこと」を決めることはおとなたちの義務です。
Q 子どもは成長途中のため、子どもの進路については大人が子どもの代わりに決めるように推奨されている
→×
1歳と16歳では全然違うため、子どもの状態や考えに合わせて「子どもにとってもっともよいこと」をおとなは考える必要があります。しかし、おとながあなたのかわりになんでも決めていい・決めた方がいいということではありません。
ユキサキチャットのクイズの正答率
「子どもは、大人のいうことを聞くなどの義務や責任を果たすことで権利を得ることができる」という間違いのある文章について、正答率が最も低くなりました。次に「子どもが自分に関することに対して意見を言え、正当に扱われる権利」、「子どもにとってもっとも良いことを考えてもらえる権利」が低くなっています。
子どもの権利、正しく理解できていますか?
子どもの権利では、「子どもは自分に関係することについて自由に意見をいうことができ、その意見は正当に扱われる権利を持っている」と定められています。そして、おとなはその意見を子どもの発達に応じて十分に考える必要があります。
子どもの権利が守られていないと感じるときを書いてもらうと、「大人に強制されるとき」「勝手に決められる時」「聞き入れてもらえない」などの声もきかれました。今一度、「子どもの権利」について、考えてみませんか?
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「これって変だな」「子どもの権利が守られていないかも?」と思ったとき、誰かに聞いてほしいことがあったとき、ユキサキチャットに話してもらえるとうれしいです。あなたの話を聞き、一緒に考えていきたいと思います。