「ひたすら電話しているような音で、本当に忙しそうで…」ごはんが届かないコロナ陽性の若者の声。支援現場が危惧する困窮の悪循環
「保健所から、食糧が届かない。」孤立している若年層からユキサキチャットに連絡が届いています。
認定NPO法人D×P(ディーピー)は、運営するLINE相談「ユキサキチャット」を通じて、困窮する15歳〜25歳に食糧支援を実施しています。困窮しているのは、アルバイトで生活費を稼いでいた学生や非正規で働く若者です。いずれも家族に頼れずひとりで暮らしています。ネットスーパーやUberEatsなど宅配サービスもありますが、彼らにとっては割高で気軽に頼めるものではありません。
感染拡大で配食サービスが追いつかない
「後ろに聞こえる音もひたすら電話しているような音で、本当に忙しそうでした…。」大阪府に住む若者は、コロナ陽性となり保健所に電話をしました。配食サービスは、電話があったタイミングでしか申し込めず届かない可能性もあるとのこと。
愛知県に住む若者も「市の宅配サービスを頼んだのですが今感染者が多く2日分しかもらえませんでした。」と言います。
感染急拡大で保健所がパンク状態となり、配食サービスが行き渡っていない…。昨年夏の第5波では全国29保健所の6割以上で保健師が時間外労働をしていたということがニュースになりました。保健所もできるかぎりの対応を尽くしてくださっています。それでも感染者は日に日に増大し、人員が追いついていない状況があります。D×Pでは、これまでの食糧支援の内容を組み替えたコロナ療養セットを陽性者に送ることにしました。
スタッフの声
コロナ罹患が引き金に。孤立を深める若年層
D×Pが食糧支援を実施する若者の中には、コロナ禍でアルバイトなどの収入が何度か途絶えている人がいます。なんとか持ち直そうと試みた結果、滞納や借金を抱えている人もいます。食事は、1日1食や2食と我慢していたり、電気やガスが止まっている、節約せざるを得ないなどの理由で寒い部屋で過ごしているなど体調を崩しやすくなっていることが想像できます。
D×Pの支援を希望する若年層の声
このような若年層が、コロナに罹患したら…
彼らの仕事の多くは人と関わることが避けられず感染リスクの高い接客業です。感染拡大によってコロナ罹患となり、アルバイトを休み収入が減るといった悪循環に陥りやすい状況にあります。長く就業ができないような深刻な自体になる前に、安心して療養し再度困ったときにも頼れるつながりを持てるよう支援する必要があります。
D×Pでは親に頼れず暮らす15歳〜25歳に食糧支援を実施しています。
D×Pでは、経済的に保護者に頼ることが難しい15~25歳で自身のアルバイトの収入で自分や家族の生活費・学費などを賄っていて、コロナの影響をうけて生活が不安定な方・もしくは不安定になる可能性がある方を対象に食糧支援や現金給付を実施しています。LINE相談「ユキサキチャット」で相談を受けたのち、詳しい状況を確認するためオンライン面談を実施しています。面談では、以下のポイントを確認しています。
- 保護者など経済的頼り先があるか
- 貯金や借金があるかなど本人の経済状況はどうか
- 仕事をしているか、働ける状態にあるかなど収入見込みがあるか
- 公的なサポートを既に受けているか、今後受けられそうか
これらの事情を聞き総合的に判断し、よりひっ迫した状況にある方に対して支援内容を決定しています。支援を決定する場合も見送る場合も、支出の見直しや収入確保のため転職・アルバイト探し、利用できる公的支援、奨学金の申請などをユキサキチャットでサポートしています。
D×Pの食糧支援
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すぐに送る、
長期的につながる温めるだけで食べられるレトルト食品や、1日に必要な栄養素を補う完全栄養食など。手軽さと栄養を考慮し、ひとりひとりの事情に合わせた食糧を30食分、すぐに送ります。
その後も3ヶ月〜半年ほど長期的に関わり、生活の安定にむけた次のステップ一緒に考えます。 -
ひとりひとりが
受け取りやすく「ユキサキ便」と名付けた箱で送ります。食糧支援を受けることは、相談者が自分のユキサキに向かうこと。後ろめたく思わずに、受け取って欲しいと思っています。食糧の他にも必要なものがないかを選択式のアンケートで聞き、マスクや生理用品・シャンプー・歯ブラシなどの日用品も届けています。 -
人とのつながりや
文化的経験を得られる工夫ひとりひとりへの手紙を同封し、人とのつながりを感じられる体験をつくります。また。余裕のない生活をしていると文化的経験が得づらいことがあります。季節を感じられる食べ物や美術作品の印刷されたメッセージカードを同封するなど、文化に触れられる機会もつくります。
食糧支援や現金給付の目的は、生活費、家賃、学費の支払いや、ライフラインの滞納の解消などの支払いに充てることです。一時的な危機を回避し、継続的に相談を続けながら安定して生活を送れるようにサポートを行ないます。