不登校を経験した4割が「誰にも相談していない」進路・就職相談「ユキサキチャット」に届く10代の本音。
2021年10月、文部科学省が2020年度不登校の生徒が約19万6千人となり過去最多になったことを発表しました(令和2年度児童生徒の問題行動・不登校校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果)。
認定NPO法人D×Pは、不登校・中退・経済的困難などを抱える10代を対象としたLINE相談窓口「ユキサキチャット」を運営しています。
ユキサキチャットの登録者は10月末時点で6,423名。相談内容は、不登校、引きこもり、中退、進学、編入、経済的困難など多岐にわたります。夏休みが明ける8月〜9月にかけては不登校の相談が増える傾向にあります。
学校を休みたいと感じてから相談した相手。家族が45%。「誰にも相談しなかった」も約4割。
2021年10月、文部科学省が「不登校を経験した小中学生へのアンケート結果」を公表しました。アンケートによると、学校を休みたいと感じてから誰に相談したのかを複数回答で質問すると、「家族」が小6で53%、中2で45%といずれも最多。一方で、「誰にも相談しなかった」と回答した人も約4割となりました。
保護者や学校と話していても、状況が変わらずユキサキチャットへ相談している人もいます。
「うまく伝えられないかもしれなくて、あらかじめ謝らせてください」10代にとって相談は難しい。
ユキサキチャットには、さまざまな背景のなか「悩みをひとつに絞れない・うまく言葉にできない」という10代からもメッセージが届きます。そのため、ユキサキチャットでは、自動で届く事前のアンケートに「不登校・家から出られない」「アルバイト・就職・転職」「退学・転学」など具体的な相談項目に加えて「その他・いろいろなことについて」という項目もつくっています。
「学校に行けていない・行きづらい」ことの背景に、虐待やネグレクトを受けている状況、ヤングケアラーとして家庭で家事や介護を担っている状況などがある場合もあります。このように悩みが折り重なっていると、「なにから話せばいいのか」「この話はわかってもらえるのか?」と相談に対するハードルも上がりやすいと感じています。
最初のメッセージからやりとりを重ねるなかで、家族との関係性に困難を抱えている状況が見えてきたケースもあります。
Case 01
「うまく伝えられないかもしれなくて、あらかじめ謝らせてください。体調が悪く、学校に行けていません。勉強が遅れてしまうことが不安です」とメッセージがあったAさん。 やりとりを重ねるなかで、家庭環境がストレスになっているのではないかと考えていることがわかりました。「まずは体調をなんとかしたい」というAさんの気持ちがあったため、精神福祉センターを紹介したり、心療内科を一緒に探したりしました。また、他にも家族から距離をおくという選択肢もあることを伝え、行政の子育て相談課、児童相談所、支援団体など複数の相談機関も提案しました。情報提供後も数ヶ月やりとりを重ねるなかでAさんは一時保護も考えるようになりました。「一時保護にあたって心配なことがある」とのことだったので、地域の弁護士と連携しAさんが不安に感じていることを解消できるようにしました。
Case 02
「幼い頃から親との関係が悪く、つらくて。大学に行くまで我慢だと思い頑張ってきたのですが、もう耐えられそうになく自傷行為を繰り返しています。ひとり暮らし、転校をしたいのですが、どうしたら良いかわからず相談したいです。」とメッセージが届きました。地方で親とふたりで暮らすBさんは、全日制高校に在籍していますがだんだんと学校に行けなくなりました。ひとり暮らしをする上で必要となってくる金銭面、働いて学校に通うことの大変さなど、本人の気持ちを聞きながら現実的に実現可能かどうかを一緒に考えていきました。ひとり暮らしを始めるための情報提供、転入に伴う情報提供を行い、家族とも話し合うように声をかけました。
ユキサキチャットでやりとりをする10代の声をきくと、些細に感じられる言葉も気にかけることの重要性を感じます。
子どもの自殺も2020年に過去最多。52.5%の子どもの悩みが周囲から読み取れていない
厚生労働省によると子どもの自殺も2020年に過去最多の415人となりました。自殺した子どもが置かれていた状況について、学校が把握していた内容のほか、保護者や他の子ども、警察などの情報をもとに分類(複数回答)したところ、「家庭不和」12.8%、「精神障害」が11.1%、「進路問題」が10.6%など。
52.5%は、「不明」とされ、周囲からは悩みを抱えている様子が読み取れなかったとのことでした。
夏休み明けや新学期に子どもの自殺が増えるというデータがあります。しかし、10代の悩みは年中生まれています。一人でも多くの10代が誰かに相談できる状況になるために周囲にいる大人が10代の声に耳を傾けることが大切です。
周囲の大人にできること。ユキサキチャット大切にしている姿勢
困りごとを聞くためにも、まずはひとりひとりの10代が自己表現ができる環境をつくることが必要だと考えています。あらゆる可能性を見つめ潰さずに、ひとりひとりと対話するために、わたしたちは2つの姿勢を大切に話をきいています。
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否定せず関わる
どんな考えや価値観、在り方も否定せずに、なぜそう思うのかと背景に思いを馳せながら関わります。これまでの経験から大人への信頼がない場合や相談に対して良いイメージがなく期待せずに連絡している状況の相談者もいます。まずは、安心して本心や希望を話せる関係性をつくることが大切だと考えています。 -
ひとりひとりと向き合い、学ぶ
肩書や性別、年齢に関係のないひとりひとりの考えや特性に目を向け、学ぼうとする姿勢です。属性は相談者を知るひとつのきっかけにはなりますが、属性にとらわれず相談者自身に向き合います。
スタッフの声
相談者との会話の中で、最近流行してるものやわたしたちが知らない専門用語を聞くこともあります。そういう場合は「それは何?」と尋ねます。相談者から学ぶことも多いです。知識として知らないこともありますが、その言葉がでてくる背景や考え方もわたしたちが「知らないこと」のひとつだと思います。事実と感情とを織り交ぜながらその人の背景に想いを馳せていくことで、少しでも相談者の見ているもの・感じていることをとらえ、一緒に悩みを解決していけたらと思っています。
くわえて、ユキサキチャットでは課題解決を急がないことを意識しています。3ヶ月〜最長2年ほどやりとりを続けながら、関係性をつくります。
人には、たくさんの可能性があります。しかし、環境や周囲の人との関係性のなかで可能性が閉ざされてしまっていることも多いと感じています。困難を抱えてきた相談者は動き出せるまで回復するにも時間がかかることがあります。ユキサキチャットでは時間をかけて関係性をつくりながら、安心して挑戦してゆける土台をつくります。
Case 03
「高校にはできれば行きたいと考えてはいます。小学校の頃から保健室登校ばかりでした。でも変わりたいと思っています」とメッセージがあったCさん。行きたい高校について自分でも調べ始めていました。やりとりを続けると、Cさんから将来について考えていることや、好きなもの、趣味の写真がたくさん届きました。その後も継続してメッセージを続け、学校見学に行き、出願するCさんを見守りました。入学までに不安を感じている様子もありましたが、高校へ入学することができました。
D×Pは、不登校などを背景に孤立する10代を支えています。
わたしたちが取り組む社会課題は、「10代の孤立」です。
「10代の孤立」は、不登校・中退・家庭内不和・経済的困難・いじめ・虐待・進路未定・無業などによって、いくつかの安心できる場や所属先を失ったときに起こります。大人と子どものはざまにいる10代は、いまあるセーフティネットから抜け落ちやすい存在。未成年という年齢的にも経済的にも自力で取れる選択肢には限りがあります。身動きも取れず行き詰まる彼らをひとりにしないために、サポートが必要です。
D×Pは、定時制高校での活動とオンラインでの活動をかけ合わせ、10代とつながります。日常的な雑談から、生徒の困りごとを拾いサポートにつなげる学校での取り組みと全国から気軽に相談できるLINE相談で10代の孤立を防ぎます。
D×Pが目指すのは、ひとりひとりの若者が自分の未来に希望を持てる社会です。その若者がどんな境遇にあったとしても、自分の未来に希望を持てるような社会の構造をつくります。
孤立する10代にユキサキチャットを届けたい。寄付で活動をサポートしてください。
卒業に伴い、進路・就職など選択する機会が訪れるのが10代の時期。読んでくださっている方の中にも周囲と比べて焦ったり、落ち込んだりしたことを思い出す人もいるかもしれません。ユキサキチャットの登録者は毎日増えています。2020年には、コロナ禍で困窮する若年層へ食糧支援や現金給付も実施。気軽に相談できるユキサキチャットのニーズが高まっています。
わたしたちから見ると精神的に無理がかかっていると判断できる状態であっても、10代自身が自分の状況を客観的に捉えることは難しいものです。SOSすら出せず、出すとしても誰に、どうやって出せば助けてもらえるのかわからない。社会にあるさまざまなセーフティネットから抜け落ちてしまうことも多いのです。頼れる人とのつながりをなくし孤立した状況になると危険な大人とつながり事件に巻き込まれてしまうなど、深刻な状況に陥ってしまうこともあります。
10代が何度でも無料で相談でき、長くつながり続けることができるのは、D×Pの取り組みに共感し寄付をしてくださる方がいるから。
進学や就職、支援機関や公的な制度などあらゆる可能性を提案できるユキサキチャットに、新しい10代のセーフティネットの可能性を感じてくださっています。人とのつながりが得づらいコロナ時代に、寄付でセーフティネットを広げませんか?
あなたの寄付でできること
月1,000円のご寄付を1年間続けると、
孤立する10代1名に、ユキサキチャットでの進路・就職相談を1ヶ月間継続することができます。
月3,000円のご寄付を1年間続けると、
孤立する10代2名に、30食分の食糧支援を届け、ユキサキチャットでの進路・就職相談を1ヶ月継続することができます。
月10,000円のご寄付を1年間続けると、
孤立する10代1人に、30食分の食糧と生活費に使える給付金(7万円)を届け、ユキサキチャットでの進路・就職相談を3ヶ月間継続することができます。
まだまだ、困っている10代にユキサキチャットを届けたいと考えています。ぜひ、寄付で仲間になってください。
いますぐ寄付をする
クレジットカードを使って今すぐ寄付を始めることができます!ともに10代を支えましょう。よろしくお願いします。
今回のみのご寄付(単発)、その他の金額での寄付はこちらからできます
D×Pへの寄付は税控除の対象となります。
2015年6月8日付で、D×Pは大阪市の認定を受け「認定NPO法人」になりました。認定NPO法人とは、活動内容が適正であるとして各自治体から認定をうけた団体のことを指します。認定NPO法人へのご寄付は、税控除の対象となります。D×Pへ寄付していただくと、最大約40%のお金が戻ってきます!
よくいただく寄付に関するご質問
- 寄付金はどのようにつかわれますか?
皆様からの寄付金は、公立の定時制高校での授業や居場所事業の実施、ユキサキチャットでの相談、食糧支援や現金給付など、様々な機会提供のためプロジェクトの活動費として使わせていただいています。費目別で見ると、「人件費」が主なもので、食糧など直接10代に届ける「給付支援費」にも充てられています。活動報告書のなかにある会計報告ページで詳細にご報告していますので、ぜひご覧ください。
活動報告書・会計報告を見るD×Pは、相談者や生徒ひとりひとりを支えるにはスタッフを支えることも非常に重要だと考えています。2022年4月にD×Pは全職員のベースアップを行いました。D×Pの人件費に関する考え方は以下をご覧ください。
お知らせ:認定NPO法人D×Pは2022年4月に全職員への賃上げを行いました。- 寄付はどのような方法がありますか?
クレジットカード、口座振替、銀行振込にて対応しております。その他にも様々な寄付の方法がございます。
使用できるクレジットカードは以下の通りです。
- VISA
- MASTER
- JCB
- AMEX
- DINERS
食糧品(日用品・マスクを含む)の寄贈は受け付けておりません。詳細は、「Q.10代に食糧を直接届けたいです。D×Pへお送りしてもいいですか?」をご覧ください。
- 法人としての寄付を検討しています。相談はできますか?
ご検討いただきありがとうございます。具体的なご相談については担当の熊井がご対応しますので、お問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。
- 月額寄付ではなく、1回のみの寄付はできますか?
はい、可能です。ご都合のいい時に、ご自由な金額でご寄付いただける「今回のみのご寄付」を承っております。今回のみの寄付をするからお手続きください。
- 月額寄付の退会はできますか?
はい、できます。D×P寄付サポーター専用 お問い合わせフォームからご連絡をいただければ、3営業日以内に対応いたします。
毎月のご寄付の方法がクレジットカードの場合は、当月の課金が最後となり翌月の課金は行われません。
月末が休業日で弊社の対応が月を跨いでしまった場合、課金が行われてしまうことがありますが、後日課金取消で対応させていただきます。毎月のご寄付の方法が銀行引落の場合は、退会の反映までに最大2ヶ月かかる可能性がございます。
- どのくらいの税制優遇を受けることができますか?
最寄りの税務署でおたずねになるか、国税庁のサイトをご確認ください。個人の方は「税額控除」か「所得控除」のどちらか有利なほうを選ぶことができます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1263.htm
また、お住まいの地域によっては個人住民税の控除対象になる場合がございます。自治体によって異なるため、当団体ではお答えしかねますのでお手数ですが各自治体へお問い合わせくださいませ。
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