D×Pタイムズ
D×Pと社会を『かけ合わせる』ニュース
D×P×コンポーザー

今宮工科高校のみんなへ届けたい、オトナからのメッセージ

「球技大会やるから、また来てな」
「スタッフもコンポーザーも全員連れてきてや。でないと、俺頑張られへんから!」

これは、最後のクレッシェンドの日に生徒からもらった言葉。

名残惜しい気持ちで放課後を過ごして、教室を後にする頃。スタッフからも、コンポーザーからも「最高の授業だったね」という感想が聞こえました。

「ありがとう」や「また来てね」という言葉がたくさん聞こえた授業のあとは、私たちオトナが生徒たちからプレゼントをもらったような気持ちになります。

最後の日の放課後は、ひとりの生徒とゆっくり話したり。それぞれ思い思いに残りの時間を過ごしていました。

そんな、「最高のクレッシェンド」はひとつひとつの関係性の積み重ねで作られています。今回の記事は、私たちからのありがとうの気持ちを込めたラブレターです。最高のクレッシェンドを一緒に作ってくれた、生徒のみんなへ。

クレッシェンドとは? 
通信・定時制高校で行っているD×Pの独自プログラム。高校生とD×Pのボランティア「コンポーザー」が対話する全4回の授業です。ひとりひとりに寄り添いながら関係性を築き、人と関わってよかったと思える経験をつくります。4回の継続した授業のなかで次第に人とのつながりを得て可能性が拡がるように、音楽用語でだんだん強くという意味のクレッシェンドと名付けています。

いろいろ質問しながら、彼女の考えや思っていることをたくさん聞きたい

オトナたちが先に、自己開示をする「現在のジブン」

コンポーザーは、過去の経験やそれらから学んだことや気づいたこと、そんな過去の経験からつながる現在の自分のことを生徒たちに話します。

今回、初めてコンポーザーをした『おかちゃん』は、大学時代に子ども対象のボランティアをしていたことと、今はその経験を繋げられる仕事を探してるという話をしました。

すると、ひとりの女子生徒が「子どもの施設の職員とか向いてそう」と答えたのだそうです。

「子どもが対象の施設あるんやな、よく知ってるなぁ」と返す『おかちゃん』にその生徒は、小4まで施設で過ごしていたことを教えてくれました。

施設のなかでは、職員に怒られることが多く、「何かしたら怒られる」というのが彼女にとっての「当たり前」だったのだそうです。

やりたいことは?と聞いても浮かばないのは、そういう施設の頃の感覚が残っているのかなと思いました。彼女は、その時の体験はとても辛かったんだろうけど、話してる時は「施設におるときはそれが当たり前やと思ってたから、そんなんで怒られるのおかしいって気付かんかった」「それが当たり前やと思ってしまうのってこわい」と話していました。

そんなふうに、本人が認識していて自分を責めていないのは良かったと思います。こちらから話をふれば、よく話すし、人懐っこさも感じます。いろいろ質問しながら彼女の考えや思っていることをたくさん聞きたいと思います。
おかちゃん

この日の授業のあと、コンポーザーの『おかちゃん』が彼女に対して感じたことをこう書き残していました。

それぞれのコンポーザーが持つそれぞれの過去や現在の話をきっかけに、生徒が自分の過去と照らし合わせたり、譲れない価値観に気づいたりします。

コンポーザーも、生徒のひとことで自分の可能性に気づくこともあります。

このように対話の中でお互いに学びあい、それぞれの生徒と「ひとりの人」として向かいあっていきます。

ちょっとずつみんなのことを知れて、それも楽しかった

ワークを通じて、生徒の特技に気付くこともあります。

文字を書くワーク、話をするワーク、絵を描くワークなど様々なワークしながらクレッッシェンドは進みます。

一緒にゲームしたり、絵を描いたりした、あの時間が楽しすぎて。
時間があっと言う間やったなぁ…でもその中で絵を描くのが上手かったり、 毎週可愛いネイルしてたり、ちょっとずつみんなのことを知れて、それも楽しかった^^ありがとう〜!!
あや

こちらは、最近D×Pのインターン生になった『あや』がある女子生徒へ送ったメッセージ。

実は、話しかけても反応がわからず関わり方に悩むこともあったようです。「YouTubeで動画を見るのがすき!」という共通の話題で、少しずつ声をかけていく様子が印象的でした。

最後の授業まで、あんまり反応はわからなかったけど…授業を受ける姿勢がまっすぐこちらを向いて、顔をあげて座るようになっていたのが印象的でした。彼女の中で、クレシェンドが嫌なものではなかったんかな?と感じました。
あや

「人から“憧れられるような人”になりたい」そんなユメを素直に表現するあなたは、すでに私の憧れの人だよ。

最後の授業では、「これからやってみたいこと」を話す「ユメブレスト」を行いました。

生徒もコンポーザーもスタッフもみんなで大きな円になって。順番に自分のこれからやってみたい「ユメ」を話します。

ある生徒の男子生徒のユメは、スタイリスト。

その生徒は、自分がしんどいと感じていた時に、スタイリストの方に出会いました。そして、そのスタイリストは彼の憧れの人になったのだそうです。スタイリストの方が自分にユメを与えてくれたように、今度は自分が洋服を通じて「しんどい思い」を感じている人に勇気を与える人になりたい。

「しんどい思いを抱えた人たちから、“憧れられるような人”になりたい。」

そんな言葉で彼のユメブレは締めくくられました。

これは、そんな生徒へ。

これは、そんな生徒へ。ベテランコンポーザーでもありスタッフでもある、『なっかん』が送ったメッセージ。

「憧れのスタイリストの方に救われた経験から、今度は自分がしんどい思いを抱えている人たちから”憧れられる人”になりたい」というユメは、自分に素直でかっこいいなと思いました。私には、そんな素直なあなたがすでに憧れの人だよ。
なっかん

毎回、授業が終わると今気に入っている服のことや、これから欲しい時計のこと。スタッフやインターン生への服装アドバイスなどをしてくれた彼。

時折、言葉に詰まりながらも、まっすぐ自分の想いを発表する彼の姿は、とても素敵でした。

また会いたいも、ありがとうも、こちらこそ。

『よかった!』って気持ちで終われたことが嬉しかった。

という感想や

生徒と『おかしパーティー』みたいなざっくばらんな会がしたい!

と、「また会いたいな」という感想も。

4回の授業と限られた時間だからできることがあるのかもしれないけれど、「4回じゃ、足りない!」そんなふうに思うことが、すごく素敵なことだと思います。

「彼女と会うから帰るわ!」って毎回終了前に、教室を出る生徒が「これからは、やりたいこと見つけたい。」と発表して、授業の終わりのチャイムを聞いてから教室を出て行ったこと。

「みんなを笑顔にするバーをしたい。自分は人を楽しませることができるから。」と自分の強みを理解し、さらに本当にみんなを楽しませるように、即興でラップを披露してくれたこと。

そんな、紹介しきれないぐらいのひとりひとりのエピソードを思い出して。

それぞれの生徒が、「自分の考えを言いたい」「真面目に自分の考えを言ってもいいんだ」と思える雰囲気を作っていたことに気づきました。

授業だから、「ちゃんとやろうや。」とオトナが押し付けるわけではなく。その場にいたみんなで一緒に作り上げる授業。

それがD×Pのクレッシェンドなんだと強く感じました。

ユメブレストで「みんなでゲームをして遊びたい!」と発表した元インターン生のコンポーザー『もずく』のユメがその場で叶った最終日の放課後

最後に、このクレッシェンドでファシリテーターをつとめたインターン生、『にっしー』から。

今宮工科高校、定時制課程2年生のみんなへ。

初めて学校に向かうとき、どんなクレッシェンドになるんだろうって、すごく不安だった。けど、行くたびにみんなのことが好きになった。
また会いたいもこちらこそ。ありがとうもこちらこそ。またね。
にっしー

ひとりひとりの高校生と関わるボランティア、始めてみませんか?

この記事に出てくる『おかちゃん』『あやちゃん』『なっかん』のように

生徒と一緒にワークを行いながら、関係性を深めていく

大学生・社会人ボランティア「コンポーザー」も募集しています。

自分の過去の経験を高校生に話したり、

高校生の話を聞いたり、

高校生に悟されたり。(笑)

そんな、ボランティアっぽくない、ボランティアです。定時制高校は主に平日夜の授業なので、大学に通いながら、仕事をしながら関わることができます。

あなたも高校生ひとりひとりに関わってみませんか?

まずはコンポーザー募集説明会にいらしてください。あれこれ、お話しします。


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