「いごこちのいい環境を整えたい」ひとりの高校生から始める居場所づくり
ずっと仲の良かった友達は、ぽつりと学校に来なくなった。
思い返すと、私は学校が楽しい方だったのかもしれない。そう思った時、彼女のことをもっと知りたいと思った。どんな気持ちで、何を思っていたんだろう?
子どもが所属する、保育園や幼稚園、学校・塾などいろんな場所。それぞれの場所を、それぞれの子どもにとって「いごこちのいい環境」に整えるにはどうしたらいいんだろう?
「子どもにとっていごこちのいい環境とは?」という問いを持ち、活動するインターン生『あや』(活動当時)。どんなふうにD×Pと出会い、何を考えて生徒と関わり続けるのか聞いてみました。
その子の気持ちを知りたかったのがきっかけだと思います。
D×Pスタッフ:D×Pのインターンに興味をもったきっかけはありますか?
あや:子どもにとっていごこちのいい環境を整えるために、どうしたらいいのだろう?と考えている組織に属したいと思っていて、最初に知ったのがD×Pでした。うちは学校が楽しい方だったけど、不登校状態の友達もいて。その子の気持ちを知りたかったのがきっかけだと思います。だから、子どもがいごこちよくいられる環境づくりを考え実践している人たちの近くで勉強して、実際に自分もやってみたいなと思いインターンに応募しました。
生徒と関わる時間を、もっと大事にできるんじゃないか。
D×Pスタッフ:もう1年ぐらい一緒に働いているよね。インターンを始めた頃と変わったことはある?
あや:会議が楽しくなりました!いままでも楽しかったけど、「楽しい」のレベルが変わったんです。いまは、居場所事業『いごこちかふぇ』の運営をメインに活動しています。インターンを始めてから1年経ったいま、うちにもできることが見えてきて、考えることもたくさんできて。
居場所事業とは?
定時制高校で週1回実施する校内カフェ。安心できる居心地の良い空間を学校のなかにつくります。コンポーザー、地域の方、他団体のスタッフが訪れることもあり、高校生が定期的に様々な人とつながることができる場でもあります。スタッフは、日々の会話から困りごとを拾いサポートにつなげ、生徒が卒業した後も社会のなかに居場所がある状態を目指します。
あや:あとは、クレッシェンドのスタッフとして参加したときに、一緒に入ってたスタッフが、ほんまに一回一回のクレッシェンドを大事にしていたんです。それを見て「生徒と関わる時間を、もっと大事にできるんじゃないか」と思いました。そのためにも、もっと会議の質を良くしようって。
生徒のことを事前に考えることができる会議の場で、ひとりひとりの生徒にとって何が必要なのか、私たちに何ができるかを考えて話し合う。そしたら、会議もいままでより楽しくなってたんです。生徒と関わる、その一回、一瞬を大事にするのは、定期的に開催している居場所事業でも同じ。そう思ったら、そこに集まってきた生徒やスタッフの大事さが、うちのなかですごく変わってきて。生徒のちょっと未来のことを私たちが考えていけると思いました。
『その場』だけではなく、先生や周りの環境にも視点を向けなきゃいけない
D×Pスタッフ:ちょっと未来のことってどんなこと?
あや:この間、ネイルアートのイベントを『いごこちかふぇ』で開催したんです。以前、ひとりの生徒と話しているなかで、クラスに馴染めなくて教室に行きづらいって話を聞いて。「なんかできるかな…?」って、スタッフで考えてて。その生徒にとって、趣味のあう友達が、クラスだけでなく学校内にできるといいかなって。それで、ネイルアートに興味のある子を集められないかな?とイベントを企画しました。
D×Pスタッフ:今悩んでいる生徒に寄り添う関わりも大事だけど、それだけでは生徒の悩みの解決にはならないんだね。
あや:生徒にとって、どんな存在でありたい?生徒のことを考えた時に『その場』だけではなく、先生や周りの環境にも視点を向けなきゃいけないというのも強く感じるようになりました。ある定時制高校では生徒と先生の距離が近くてびっくりして、先生と生徒の関係も大事だと思います。
いま、『いごこちかふぇ』を行なっている学校は、先生方が学校だけでは足りないと感じることがあって、その足りない部分をDxPが担えると可能性を感じて導入してくださったのだと思います。だから、私たちは学校の中で『いごこちかふぇ』を運営できているんだと思います。その足りない部分を学校の先生方と一緒に擦り合わせてつくっていきたいです。
その生徒にとって、どんな人になれるかな?
D×Pスタッフ:生徒にとって、どんな存在でありたい?
あや:生徒にはD×Pとの関わり以外にも親や友達がいたり。バイト先の人や、先生、いろんな関わりがある。うちは、その生徒にとって、どんな人になれるかな?D×Pはどんな存在になれるかな?って考えています。
気にかけてくれる人とか、教えてくれる人とかいろいろな大人の存在があるけど、少なくとも、「あなたはそれでいいんだよ」っていえる存在になれるんじゃないかな?D×Pは、そういう関わりをすごく考えている人たちばかりだと思うから。でも、その生徒にとって必要な別の存在があるかもしれない。だから、私たちは何になれるのかな?って視点を常に考えて関わりたいと思っています。
こんなふうに考えるインターン生『あや』はスクールソーシャルワーカーを目指して、勉強しています。
D×Pでは、教育分野に進みたい人も福祉分野に進みたい人も活動しています。同じ夢を持つ人や似た視点から違う道を目指す人と一緒に、生徒ひとりひとりを見つめプログラムを作る経験は、あなたの「これから」に活きるものとなると思います。