「チャンスだらけの人生」に気づかせてくれた出会い|D×Pのサポートを受けて就職した渡辺さんの“いま”と、めざす“未来”
認定NPO法人D×P(ディーピー)は、ユース世代を対象にセーフティネットと機会を提供する活動を行なっています。これまで、不登校や中退、経済的困難、虐待など、さまざまな困難を抱える若者たちと関わってきました。
D×Pの目標は、若者が困ったときに頼ることができる「人とのつながり」をつくることです。そのために、多様な取り組みを展開しています。
今回は、D×Pのサポートでスタディツアーに参加し、人生の見方が変わり、現在は株式会社リツアンSTC(2023年1月入社)でエンジニアとして活躍する渡辺さん(仮名)にお話を伺いました。
やりがいは、ゲームのレベル上げのような「達成感」
──渡辺さんのリツアンSTCでの現在のお仕事について教えてください。
いまの仕事は、ある大手金融企業の社内ネットワークシステムの設計と案件管理を主に担当しています。仕事の形態は完全リモートワークで、8人から9人ほどのチームで協力しながら業務を進めています。
──リモートワークなんですね。チームの雰囲気はどんな感じですか?
基本的には皆プライベートをあまり共有しないんです。むしろ、それぞれの仕事への姿勢やプロフェッショナルとしての側面を互いに尊重し合っている感じです。言ってみれば、フリーランスが集まって仕事をしているような雰囲気かもしれません。
──渡辺さんにとって、仕事のやりがいはどんなところにありますか?
仕事のやりがいですか、そうですね…タスクをひとつずつ片付けていく達成感でしょうか。「たまっているタスクが着実に減っていくこと」と「ゲームのレベル上げで経験値を少しずつ貯めていくこと」の感覚が似ていて好きです。
それに、頑張った分が給料に反映されるのを見ると素直に嬉しくなりますね。実は、銀行口座の残高が増えていくのを見るのが好きで、それが仕事へのモチベーションにもなっているんです。
もちろん仕事をする上で大変だと感じることもあります。技術的な問題に直面したり、お客様とのコミュニケーションで苦労したり。それでも続けてこられた理由は、論理的な思考が求められる業務であること、給与水準、在宅ワークなどの条件を総合して、この仕事が自分に合っていると思うからです。
「チャンスだらけの人生」に気づかせてくれた出会い
──渡辺さんの人生のなかで、特に印象に残っている出来事はありますか?
17歳のとき、D×Pさんの支援で参加させていただいたスタディツアー※が、私の人生の転機だと思います。
当時の私は高校を中退し、これからどうすればいいのかわからず、周りの人たちの手助けに頼るばかりでした。そんななか、スタディツアーでフィリピンに行く機会を経て、現地の貧困の実情を目の当たりにしたんです。戦争のことや歴史のこと、貧困のことなど…フィリピンの厳しい現実を色々学びました。
特に印象的だったのは、離島の村に一泊したことです。そこでは住むところも食べるものも何もかもが十分ではない状況で…その場に身を置いて、痛感しました。
自分が恵まれているとは言わない。でも、日本に生まれた自分はとても運が良かったんだと。
「自分には実はたくさんのチャンスがあるんだ」「チャンスだらけなんだ」
そう思えるようになって人生の見方が少し変わったような気がします。
※フィリピンスタディーツアーは、株式会社ココウェルさんとD×Pが一緒に進めている「ココファンドプロジェクト」のひとつです。ツアーの企画を担当しているのは、フィリピンと日本の貧困問題に長年向き合ってこられた認定NPO法人アクセスさん。さまざまな事情を抱える高校生に参加のチャンスが広がっています。
──D×Pさんとの関わりについて、もう少し詳しく聞かせていただけますか?
スタディツアーの後、D×P代表の今井さんから個人的に私の調子を気遣う温かいメッセージをいただきました。それから20歳くらいのときに、プログラミングのスクール「ヤンキーインターン」を紹介していただいたんです。
その後も度々気にかけてくださって、本当にずっとお世話になっています。
実は2、3年前に個人的に色々あって、金銭面はもちろん精神的にも苦しい時期がありました。そのときも、今井さんやD×Pさんに食糧支援やお金の支援をしていただき、生活すべてにおいてサポートしていただきました。
あのとき今井さんに相談していなかったらどうなっていたのか…考えるだけで心の底から不安になります。
あの時期は今井さんだけではなく、LINE相談担当のD×Pのスタッフの方々にもたくさんお世話になりました。仕事の相談に乗っていただいたり、体調の心配をしていただいたり、本当に、本当に心の支えになりました。
正直、「どうして自分なんかにこんなによくしてくれるんだろう…」と思うこともありました。でも、私にとっては、とにかく優しくて、とにかく善意で、とにかく支えでした。
その後、今井さんにリツアンを紹介していただき、入社させていただくことになり、いまに至ります。リツアンは給与水準が高いので、そのおかげで生活もすぐに持ち直すことができました。
いまはD×Pさんに少しでも恩返しできたらいいなと思い、少額ですが毎月の寄付をさせていただいております。
貯蓄、猫との将来、そして恩返しの心
──渡辺さんの今後の目標や夢について、聞かせていただけますか?
収入面で言うと、20代のうちに年収800万円、30代では1000万円。これはリツアンにいれば達成できそうです。目標で言うと、いまは資格取得に力を入れています。「ネットワークスペシャリスト」というネットワークの専門家向けの資格は取ったので、今は「情報処理安全確保支援士」というセキュリティの専門家の資格の取得に挑戦しています。
──勉強熱心ですね。仕事以外での楽しみや目標はありますか?
目標という意味では、猫ちゃんを幸せにすることです。猫ちゃんが生きてくれているうちは難しいとは思いますが、いつか世界旅行もしたいです。現在の趣味としては、貯金、ファッション、筋トレ、そして国内旅行を楽しんでいます。
──最後に、渡辺さんから若者へメッセージをいただけますか?
私から偉そうに伝えられるメッセージは何もありません。自分はただ運が良かっただけで、一歩間違えば全然違う人生になっていたかもしれない。でも、いまの自分があるのは、本当にたくさんの人が支えてくれたからだと思っています。
特にD×Pさん、そして今井さんには本当にお世話になりました。今井さんは私の恩人です。これから先、少しでも恩返しができたら嬉しく思います。
取材・執筆:株式会社ストーリーテラーズ/編集:熊井かおり
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続く物価高。今秋にかけても値上げラッシュが発生するなか、その影響を大きく受けるのは、親に頼ることができず、困窮する若者たちです。年末年始は困窮する若者たちにとって孤立を深める期間です。食糧の緊急発送が急増する12月まで、あと1ヶ月半。D×Pでは全国の若者への食糧支援を提供するため5,000万円を目標に、12月20日までクラウドファンディングを実施しています。ぜひ応援や記事のシェアなどをお願いいたします。
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