「生活費と学費の全部を自分で払わなきゃならなくて」ーユキサキチャットから他機関と連携してサポート
両親が離婚したことや、大学が実家から遠方にあるため、祖父母の家から大学に通っていた優子さん(仮名)。しかし居づらくなり、現在は奨学金を借りつつ、学業と生活を両立させてひとり暮らしをしています。
日々の生活費はなんとかまかなえてはいるものの、学費が払えないためユキサキチャットに相談がありました。そこで食糧支援、現金給付を数ヶ月間実施し、複数の民間奨学金を紹介しながら優子さんの学生生活を支援しました。ユキサキチャットに相談された状況や現在の生活ついて、具体的に話を聞きました。
テスト期間はバイトが入れられない
──優子さんがユキサキチャットに相談された状況について教えてください
いま、学生支援機構から奨学金を借りているんですけど、それだけでは学費が払えなくて。テスト期間は勉強を優先しなきゃならないので、バイトも入れられないんです。生活費と学費の全部を自分で払わなきゃならなくなってしまって、「うわ、どうしよう」となってしまって。
それでインスタの広告でユキサキチャットさんを見つけて、とりあえず自分のいまの状況をバーッて書いて相談させていただきました。1年生の2回目の学費納入のときでした。

ユキサキチャットが他の支援機関を紹介してくれた
──具体的にどんな支援を受けましたか?
まず1年間の食糧支援をいただいたのと、現金4万円を2ヶ月いただきました。その合計8万円は学費として支払いました。学費の足りない分はそれまで自分ががんばって貯めた分で支払いました。今後も学費の支払いが大変になると思うのでとユキサキチャットさんが情報を集めてくれて、他の支援機関も支援してくれる可能性があるので問い合わせてみてはどうか言ってもらいました。それで自分で問い合わせました。
それまで奨学金というと学生支援機構しかないと思っていたのですが、紹介してもらってみると他にもあることに気がつきました。なかでも「みなと計画さん」に問い合わせたらすぐ返事が返ってきて、メールでやり取りしてオンラインで面談をしました。学生支援機構から奨学金を借りていることなどをお伝えして、残りの足りない分の学費を支援してもらいました。学費1回がだいたい25万円で、2回合わせて年間50万円です。学生支援機構の給付型奨学金で7割が免除されて、この金額なんです。
──勉強しながらバイトして、ひとりで払える金額ではないですよね
そうなんです。それから学校で保護者会の支援金をもらいました。成績もきちんと見られるので、勉強もしっかりしなければなりません。普段の生活だけじゃなくて特別な出費がある日もあるし、バイトに入れない日が続いたりするとますますキツくなってしまうんです。

就職活動を始めるとバイトができない
それから、私が考えている就職先が一般的なものではなく、児童養護施設の指導員なんです。それとも大学院に進むか。前までは大学院の学費を前払いしないといけなかったんですけど、いまは後払い制ができるみたいで。それとこの間「教職に就けたら奨学金返済免除です」っていうニュースを見て、いままでは大学院の選択肢は消えてたんですけど、行けるのなら行きたいなっていう思いもあって。一般的な就活は企業説明会に行かなきゃならないし、そうなるとバイトに行けません。児童養護施設に就職する場合は勉強をしなければいけない。本当にどうしようか悩んでいます。
──相談できる人はいますか?
いや、いないですね。ゼミの先生が去年と変わってしまって、全然知らない先生なんです。話したこともないから人柄も分からなくて。
保護者会の奨学金もユキサキチャットさんから教えてもらいました。自分で調べて学生課にも相談に言ったりするんですけど、学生課の人からは「あなた、もう学生支援機構から給付のやつもらってるから、 通るのはなかなか難しいと思うよ」って言われて。民間の給付の奨学金ってエントリーシートとか小論文とかを書かないといけないんですけど、それにも時間を費やさないといけないから…そんなこと言われたらじゃあ無理なのかなって。
ユキサキチャットさんはこっちが連絡しなくても、タイミングタイミングで連絡してきて下さるので助かってます。こちらからはなかなか連絡しにくくて。どうしても用事がないといけないのかなっていう感じで連絡しづらくて。奨学金に応募しましたとかは伝えたいと思うので、その連絡とかはしています。でも全然何もないときに連絡をもらえると、気にかけてもらえてるんだなって。
ユキサキチャットスタッフとみなと計画さんからのコメント
よりよい協働、連携をしていきたい
ただ、民間支援団体ひとつの力ではどうにもならないことも多いです。ユキサキチャットチームでは、みなと計画さまはじめつながりをいただいている他の団体さまのお力もいただきながら、協働して支援を行っています。その存在は私たちにとってもとてもありがたく、心強いものです。今後もよりよい協働の形を模索しながら連携していきたいと考えています。

「全ての若者が未来に希望を持てる社会」を実現するために
給付によって「いま」を乗り切り、いち早く不安な気持ちを取り除き安心して暮らせるようにできたらと思う反面、性急な給付によって状況を悪化させる可能性もあるため、慎重に判断をしています。当方の第三者委員会でも客観的な視点で審査を行ないますが、様々なケースに対応してこられているD×Pさんのご意見はとても貴重です。
「自分だけでなんとかしようとしない」姿勢はD×Pさんと共通していると思っています。この課題に向き合う活動団体も制度も既にたくさんあるので、連携しながら同時にネットワークも強化していく視点は常に持っています。それが「全ての若者が未来に希望を持てる社会」を実現するには欠かせないと考えています。

インタビュー・執筆:青木真兵/編集:熊井かおり
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