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D×Pと社会を『かけ合わせる』ニュース
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言葉を尽くし、とことん応募者と向き合う「D×Pの採用」とは? 採用担当者に聞きました。

D×Pでは、「若者の孤立を解決する」という大きな目標のため、多くのスタッフがそれぞれの専門性を生かして業務に取り組んでいます。現在、その組織づくりの大切な要素のひとつ「採用担当」を担っているのが、行政杏奈さん。D×Pでのニックネームは「あんちゃん」です。

あんちゃんは、大学時代に児童買春問題という社会課題に向き合い、NPOでインターンをしていた経験も。一度は民間企業で転職支援に従事していたものの、「ソーシャル領域で働きたい」という思いで2023年12月からD×Pに仲間入りしました。

「いろんな問題を知り、『悲しくて、辛い』『何かしなければ』と思ったときに、すぐに行動に移すことができる環境に居られることが、本当にありがたい」と語ります。

D×Pで働く人の日常や本音を映す「スタッフインタビュー」の第5回目。今回は、ずっと「人材」という切り口で仕事をしてきた働いてきたあんちゃんに、NPOで働くことへの思いを聞いてみました。

「働くこと」が持っている力

──D×Pにジョインする以前のお話を、ぜひ教えてください。

学生の頃は児童買春問題に関心を寄せていました。当時インドの人身売買問題に取り組んでいた認定NPO法人「かものはしプロジェクト」でインターンをさせていただき、インド事業部で、売春宿やレスキューの現場、シェルターなどを訪れる機会がありました。

大学卒業が近づき、就職をしなければ……というタイミングにちょうど出会った、とある被害を受けたの女の子のことが印象に残っています。

彼女には、どんなケアプログラムもなかなか合わなかったのですが、働いて収入を得ることが一番回復につながり、生きる希望というか理由につながったんです。

実際のところ、彼女の仕事は、ケアプログラムの範囲内のマイクロファイナンスの事業(※小規模なビジネス)から選択してもらう必要があったため、自分が本当にやりたいことを選べる余地があったとは言えません。彼女が選んだのは売店の仕事でした。最初は彼女も「あんまり気が進まない」という感じだったのですが、働き始めるなかでどんどん楽しみを見つけて、自分の意志で物事を選択し、お店を経営し、そのお金で自分の生活を成り立たせ、回復につながった。なんだか、その様子にすごく胸を打たれたんです。

「働くこと」「自分の意志で選択すること」は人が生きていく上で大きな力になると感じて、転職を支援する人材紹介の会社に入社しました。

NPOやNGOへの転職支援に携わるように

──なるほど、「働く」ということについて考える上で、印象的なエピソードですね。

ただ、私が携わった転職支援は、自分が入社前に想定していた世界とはあまりにも違い過ぎて、けっこう距離を感じてしまいました……。

そもそも、比較的年収が高い方向けの日本の転職支援と、インドの人身売買問題の被害者が売春以外の自分を傷つけないやり方で経済的に自立を目指す……という文脈の違いに、ギャップを感じるのは当然ですよね。

それで、社内副業という形で、民間企業から、NPOやNGOなど社会的活動をメインとしている組織への転職支援にも携わるようになりました。社内で過去、何度か開催されていた「ソーシャルキャリアフォーラム」を、当時運営をやっていた方々に「もう一度やりませんか」と声をかけ実施したんです。

ちょうど、当時私の周りには、私のように大学時代に国際協力をしていた子や、社会課題に感度の高い子が多くて、みんなでかけ合った感じですね。

来場者が約300人という規模のキャリアフォーラムで、約20団体のNPO法人に参加していただき、マッチングをはかる形式でした。

コロナ禍に感じた閉塞感で、見つめ直した働き方

──何か社会課題解決のためにできることをしたい、という思いから、副業でバランスを取ろうとしたのでしょうか。

そうだと思います。

また、同じタイミングで立て続けに二回出産を経験し、仕事から離れることになったんです。育児を頑張ろう、という気持ちで過ごしていたのですが、ちょうどコロナ禍も重なって、社会的なつながりがかなり途絶えてしまい、これまで以上に「自分は何もしてないんじゃないか」と苦しさに苛まれるようになってしまいました。

そんなとき、D×Pの今井さんに相談に乗ってもらったら、「そんなこと言ってちゃダメだよ!」「もったいないよ!」と励ましてもらい(笑)

人材紹介でしか社会人経験がないので不安だったのですが、ちょうど「採用担当」というポジションが必要だということで採用していただけることになり、いまに至ります。

──現在のお仕事について教えてください。

こんな方を募集したい、という要請がD×Pのなかで出たタイミングから、私の仕事が始まります。

まずは要件定義を行ない、どういう方を採用したいのかを話し合い、まとまったらその内容を発信して募集をかけ、応募いただいた方の選考から入社までのサポートを一貫して行ないます。

言葉を尽くし、とことん応募者と向き合う「D×Pの採用」

──お仕事をしていて、「D×Pの採用」ならではの特色を感じることはありますか?

人材関係の会社さんとやり取りをさせていただくと、みなさん揃って「ここまで丁寧な法人さんはなかなかないですよ」とおっしゃいます。私も前職を経験しているのでよくわかるのですが、D×Pの丁寧なポイントは二つあって、まず一つは、応募の文面の言葉選びに心を砕いている点。

例えば、「救う」とか「助ける」といった言葉は原則使いません。関わっている若者たちがD×Pの発信を見たときにどう感じるか、ということまで考え抜かれていると思います。

二つ目は、選考段階で面接官が応募者にいろんな項目で評価をつけるのですが、その評価項目がすごく多い。通常、一つの面接に対して4〜5個のところ、D×Pは20個くらいというレベルです。

D×Pの業務は、特に現場スタッフにおいては専門性が高いので、欲しいポジションに対して必要な能力を持った方を採用する、というミッションがあります。同時に、D×Pが大切にしている姿勢やビジョンへの共感も重視しており、前向きな気持ちで仕事に取り組んでいただけるかどうかも見ていきます。

評価項目の多さは、丁寧に、面接の時間を目一杯使ってその人に向き合いたい、という気持ちの現れでもあると思います。




「何かしなければ」と思ったとき、NPOにいるからできること

──どんな点にやりがいを感じますか?

「若者の孤立」という社会課題を、とにかく早く解決したい! と思っています。だから、D×Pが実現したい社会に到達するための最短ルートはなんなのか、そのために必要な人物像はどういったものだろうかと考え、実際に仕事に落とし込めたらすごくやりがいを感じると思います。

まだそんな大層な仕事はできてないと思うんですけど、そういう思いで続けていきたいです。

D×Pに入って、若者の孤立という問題は、「これをこうすれば解決するよね」と単純に言い表せるものではない、と強く実感しています。困難を抱えた若者の周囲にはたくさんの登場人物がいますが、それぞれにできること、できないことがあり、しかも横断したり連帯したりすることが難しい。一つのセクターが頑張ればどうにかなることでもありません。

──難しい問題に直面すると、その解決への道のりが険しく、遠く、途方に暮れることはありませんか?

インドで活動していたとき、人身売買問題の実態に衝撃を受けて絶望的な気持ちになったことを思い出します。被害者数を減らしていくことって、本当にできるんだろうかと。

でも、当時最前線で活動されていた職員の方が、私と同じような表情をしていたかと思えば、午後にはもう「どうすれば良いか」と具体的な解決策を検討するための会議を開いていたことが印象に残っています。絶望を感じる気持ちと、それをどうにかしなきゃいけないと思う気持ちは、全く別のものなんだと思いました。

ソーシャルセクターで働く選択肢が、もっと広がってほしい

──この記事を読んでくださった方に伝えたいメッセージはありますか?

NPOのようなソーシャルセクターで働くという選択肢が、もっと拡がるといいな、と思っています。

以前、キャリアフォーラムで「NPOってお給料もらえないんですよね?」と真剣に聞いてきた方がいて、「いや、もらえますよ!?」と必死で答えたことがありました。でもやはりお金の面でハードルに感じる人は多い。

──確かに一般企業よりは安い傾向にありますし、それは問題だということで、D×P代表の今井も職員の賃上げが大事だとよく発信しています。

そうですね。ソーシャルセクターの市場規模を大きくしていくことによってNPOやNGOで働く人の賃金(アップ)につなげていく必要があると考えています。

これは一団体ですぐに解決できることではないところもあり、私としてはとにかく、NPOで働く選択肢に対するハードルをもっと下げていきたいと思っています。

学生時代に私が目にしていた社会課題と、いまD×Pで触れている社会課題は、全く一緒ではありませんが、通ずる部分もあります。D×Pが関わる若者の苦悩、困難を聞くと、苦しくなる気持ちもありますが、私はいま、無力な学生ではなく、NPOで働かせていただいている立場。いろんな問題を知り、「悲しくて、辛い」「何かしなければ」と思ったときに、すぐに行動に移すことができる環境に居られることが、本当にありがたいです。

私と同じように、学生時代に何か熱心に取り組んでいたという方、けっこういると思うんです。また、社会人になって初めて世の中のさまざまな課題に気づいた、という方もいるはず。NPOなどのソーシャルセクターへ転職を検討する際に、スキル面や給与面で不安に感じられる部分は確かにあると思います。でも、自分のなかに、この課題をなんとかしたい、という情熱を感じる方は、もやっとする気持ちに蓋をせず、ぜひ踏み込んでいただけると嬉しいです。待っています!

聞き手・執筆:清藤千秋・南麻理江(株式会社湯気)/編集:熊井かおり

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続く物価高。今秋にかけても値上げラッシュが発生するなか、その影響を大きく受けるのは、親に頼ることができず、困窮する若者たちです。年末年始は困窮する若者たちにとって孤立を深める期間です。食糧の緊急発送が急増する12月まで、あと1ヶ月半。D×Pでは全国の若者への食糧支援を提供するため5,000万円を目標に、12月20日までクラウドファンディングを実施しています。ぜひ応援や記事のシェアなどをお願いいたします。

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