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ひとりの人として話を聞いてもらえて、うれしかった

珠子たまこさん(仮名)は高校に通わなくなったときからユキサキチャットに相談し、1年以上継続して利用しています。その間に再び学校に通いはじめ、現在は卒業を目指しています。

珠子さんにとってユキサキチャットの持つ意味、相談されている間に変化されたことなどをお聞きしました。

ホームページから優しい雰囲気が伝わってきた

──ユキサキチャットに連絡をくれたきっかけは何だったんですか?

ネットで調べました。いまもそんなに家族以外との関わりはないけど、その頃はもっと関わりがなくて。すごく寂しかったんです。とにかく誰かと話したいと思って、チャットで話せるサービスとかないかなって。それで検索をかけて出てきたのがユキサキチャットやったんです。

見ると優しい雰囲気が伝わってた来ました。だから怪しい感じはなかったです。NPOだから全部いいってわけじゃないだろうけど、相談する前にちゃんとサイトとか覗いてみていたので大丈夫そうだなと思っていました。水色っぽい色もよかったかも。

ユキサキチャットに登録した頃、私は病院には行ってなかった気がします。つながりとしては市の相談所。学校に行けないとか、引きこもっちゃって辛いみたいな相談をリアルと電話の両方でしてもらっていました。漢方の先生もLINEでつながってて、たまにお話を聞いてくださる感じでした。でももうちょっと、距離感が近い感じで話せる人がいいなと思ってました。

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オンライン相談はハードルが低いかも

──ユキサキチャットに相談している間、何か自分のなかで変わったことなどはありましたか?

そうですね。話す前はすごいもやもやした気持ちでいっぱいなんだけど、話してる間とか終わった後は、もういつも気持ちが軽くなってるんだなっていうのは覚えてます。オンラインとリアルの違いでいうと、対面だと緊張感があって。オンラインだとちょっと話してみるかなみたいな、ハードルが低いかもしれないです。

とりあえず辛い気持ちぶちまけちゃって、別にもう嫌だと思ったらやめちゃえばいいやみたいな気持ちなのかも。あまり考えすぎずに相談できるところがよいなって。

不登校のときに担任だった先生には、もうとにかく辛いから電話とかZoomで、私がめちゃくちゃ泣きながら話を聞いてもらうっていう感じでした。もう辛すぎるから誰でもいいからみたいな感じで話してた。それでも受け止めてくれるっていう安心感があったからありがたかったです。

いまの担任の先生は、学校に連続して行けるときもあれば、全然行けなくなっちゃうときもあるっていうことを理解してくれる、すごくよい先生で。でも辛い気持ちを話そうみたいにはならなくて。多分その先生がどうこうというより、学校の先生だからっていうところで、ちょっと遠慮しちゃっているのかも。

昔と違っていまは立ち位置、距離感みたいなのがわかってきたから、話す必要ないって思えてるのかもしれない。あとは私の心の変化っていうか、 20歳なので高校生って感じではないんですね。高校には通ってるけど。高卒資格を取りに来た成人女性っていう感じ。だからあんまり「先生、先生」って感じで話せないのかも。

──ご自分のことを客観的に見られるようになったということでしょうか?

そうですね、いままでは本当に辛すぎたんだと思います。話を聞いてくれそうな人は誰でも捕まえて話すって感じだったんだけど、 いまはちょっと戸惑ってるところもあるのかな。いい変化なんだろうけど、あんまり話したいって思える人は少ない自分に気づいて、自分が冷たいのかなって思っちゃいました。

ユキサキさんはひとりの人として話を聞いてくれる

──これからの目標はありますか?

やっぱり学校を卒業したい。だからとりあえずペース配分としては現状維持のままで頑張り過ぎることなく、楽しみを増やしたい。ストレスへの対処法も、いまよりもっとうまくなって学校を卒業するっていうのが、一番の目標かな。

今はお風呂の時間を楽しむようにしています。元々そんなにお風呂好きじゃないっていうか、体洗ったら早く上がりたいタイプなんだけど。せっかくお湯入れるし、入浴法とか調べてリラックスタイムにできたらいいかなって。あとはお散歩も頑張ってます。もう半年以上続けています。

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──もしユキサキチャットがなかったらどうなってたと思いますか

ユキサキさんはひとりの人として話を聞いてくれる感じがうれしい。こっちが話題を決めていいよっていう風にしてくれることが多かったから、辛いときでも楽しいことを話したければ話していいよって感じで。どうしてもいま抱えてる問題をテーマに話さなきゃいけないっていうのがなかったから楽でした。

でもユキサキ以外にも学校のカウンセラーさんみたいに話を聞いてくれる場所があったから、多分1人ではなかったと思いますね。こうやっていまみたいに元気にはなれたと思うけど、楽しくはなかったと思います。

ユキサキチャットには楽しい要素がたくさんあって。こうやって話す時間もすごい楽しいです。カウンセラーさんと話しているときよりも、ユキサキの相談員さんと話しているときのほうが、たくさん楽しい気持ちになれる瞬間が多いんですよね。

珠子さんがユキサキチャットへ送った実際のメッセージ(ご本人の許可を得て掲載しています)

辛い気持ちを認めるのも、実は勇気のいることなのかも

──世のなかがこうなったらいいのになって思うことってありますか?

私が思うのは、大人になることが悲しくならない社会になったらいいなって。私は社会に対してこうなったらいいのにって思ったことないんです。でもいま思うことあるかっていう質問にすぐ出てきたのが、野菜の値上げとかどうにかなんないかなって。今朝、今日は鍋にしようと思って白菜を買いに行ったんですよ。そしたら4分の1の白菜が近くのスーパーで198円で。いつもより小さいし…えーっ鍋できず、みたいな。

それと半年くらい前に東横キッズとか、グリ下っていうのかな、そういうこたちのニュースを見てそれも気になっていて。警察が「お前たち何やってんだ」じゃなくて、その子たちを受け入れてくれる場所があればいいのにって。受け入れてもらおうと思って集まっている人だけではないと思うけど、行ってみたいと思う体制ができたら変わるのかなとは思ってます。難しいのかな。

辛いって思っても、その気持ちを自分で認められたときに初めて、じゃあどうしようかとか、誰かに頼ろうっていう考えが浮かびます。よく考えたら、その辛いっていう気持ちを認めるのも、実は勇気が入ることなのかもしれませんね。自分は辛いものは辛いんで助けてくださいって言えちゃうタイプだったし、相談できる先が多くあったことがとても助かりました。

インタビュー・執筆:青木真兵/編集:熊井かおり

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