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「家族と長い時間いなきゃいけないのがつらい」「お金がない不安に押しつぶされそう」夏休みが不安な若者たちの声【13~25歳アンケート】

近年、家庭の経済格差が広がるとともに、夏休み期間の子ども・若者たちの体験格差(※)や、給食がなくなり満足に食べられなくなるなどの問題が顕在化するようになりました。
家族との関係の悪さから、夏休みに「家に居場所がない」と感じる子ども・若者がいたり、大学生の経済的困窮も深刻で、夏休みにいっそう深刻化するケースもあるようです。

D×Pがユキサキチャットに登録している13〜25歳を対象にしたアンケート(2024年7月10日〜7月17日)で「もうすぐ学校では夏休みがはじまりますが、今どんな気持ちですか?」と尋ねたところ、197人の回答者のうち約3割が、夏休みが「不安(すごく不安だ・不安だ)」と回答しました。

もうすぐ学校では夏休みがはじまりますが、今どんな気持ちですか?(回答数: 197)

さらに、「夏休みになると、心配なことや不安なことが増えると感じますか?」と問いかけたところ、「感じる」と答えた人は41.1%にのぼりました。

夏休みになると、心配なことや不安なことが増えると感じますか?(回答数: 197)

不安の理由を細かく聞いてみると、家族との人間関係や経済的な悩みなどで、少なくない数の若者たちが厳しい状況に追い詰められている様子が見えてきました。

現実の一端を、このアンケートに寄せられた若者たちの声から読み解きます。(アンケートの回答は原文のまま掲載しています)

(※)体験格差……家族旅行や美術館・映画館などの文化施設、各種習い事など、子どもたちが関わるアクティビティ全般に、親の経済格差が深刻な影響を及ぼしていること。

「常にお金がない不安に押しつぶされそうです」

まずは、夏休みに不安を感じる原因について詳しい状況を教えてもらいました。

日頃から家族との関係に困難を抱えている場合は夏休みに家で過ごす時間が増えることで不安が増したり、猛暑に伴う光熱費の上昇や、給食がないことで食費が増えるなどの経済的な事情もアンケートの声からうかがえました。


親が一緒にいると必ず怒ってくるから
15歳
家族との関係(長い時間いなきゃいけないのがつらい、お手伝いを強制させられる、険悪な雰囲気の時怖い) 暇になりそう
17歳
仕事があるけれど、そのぶん帰宅後、母や妹と過ごす時間が長くなること、耐えなきゃって、苦しい。 仕事も家庭も、人間関係にとても苦しんでいるからこそ、不安でたまらない。夏休みまでに死にたい、生きたいけど本当は生きていたいけど、苦しい、ごめんなさい。生きていてごめんなさい。
20歳
毎回イベントごとや世間の人が楽しそうにしているのをみて自分と比較して苦しくなるから。
23歳
経済的不安があります。 入学金と授業料減免になった給付型奨学金の世帯です。 生活費(家賃+水光熱費込の契約)は奨学金から出して、一万円を貯蓄、残りを生活費に充てています。 それでは足りないためアルバイトを始めました。 大学はサークルなどの人付き合いなど今までかからなかった出費もあります。 常にお金がない不安に押しつぶされそうです。
18歳
出費がとても多くなること
22歳
夏休みになると実家に弟がいるため仕送りが貰えなくなる。 バイトはしているが始めたばかりで給料振込までまだ先で生活が厳しい
19歳

また高校生の中では学業面での不安も強く、「復習が間に合って受験のスタートラインに立てるか」(18歳)、「受験が近づいてきている事」(17歳)といった学業面での不安の声もありました。

これまでの経験で最も多い悩みは、家庭での人間関係

これまで、実際に夏休みにどんな困りごとがあったのか。過去の体験を聞いてみると、最も多かったのは「家庭での人間関係」でした。

これまでどんな困り事がありましたか?(回答数: 81)

その時の具体的な状況や、困りごとの内容について聞いてみると、次のような回答がありました。

虐待から逃げる場所がなかった、警察や児相が相手にしてくれなかった
23歳
反抗期・思春期なこともあって親とぎくしゃくしていたり、母の面倒を見る必要があったりして困っていました。
16歳
家庭環境の悪化(妹の学費28万を私が立て替えた)。持病の悪化(うつ病→躁うつ病)。他にも色んな重荷を背負ってます。本当は助けを求めたいのに、それさえもできない程に無気力になってしまうこと。
20歳
家庭内暴力のある家にいました 今は実家を出ていますが、当時は家にいる時間が増えるのが辛かったです。
23歳

「エアコンが無くて、暑かった。生きた心地がしなかった」

家庭での人間関係と並んで多かった困りごとは、経済的な問題(61.7%)です。電気代が不安でエアコンがつけられないといった、夏ならではの悩みも浮き彫りになりました。

また、「なにも食べない日」は週に何日ありますか? と聞いてみると、回答してくれた50人のうち、「週1〜2日食べない日がある」は19人、「週3〜4日食べない日がある」は4人、「ほとんど食べていない」が1人、という結果になりました。

「なにも食べない日」は週に何日ありますか?(回答数: 50)
金銭的にきつく、満足にご飯を食えていない
22歳
経済面についてのこと。 夏は電気代などもかさむため。
20歳
コメが高いので特売の日を狙って五キロ買います。 生活のためにアルバイトをすると疲れて授業に集中できない。 何気ない生活の中で周りとの経済的格差を感じることがある。
18歳
エアコンが無くて、暑かった。生きた心地がしなかった。室内の温度が30℃を下回らない日もあった。
22歳
9月までに半期分の学費を払わなければならないので、不安である。
23歳
経済的な問題から自身の進学を諦めるべきか否か悩んでいる。
15歳

居場所や、つながりを求める声も

どんなサポートがあると心強いかを聞いてみると、食糧の配給や、現金給付といった生命の維持に直結する支援はもちろんのこと、居場所やつながりを求める声が多く上がっています。

いつでも行ける居場所が欲しい。 高校生を生き延びて、家を出られたのに、18をこえると行ける場所はなくて、ただそこにいれるばしょもなくてつらい。
21歳
(LINE相談などの対応が)24時間がいい。夜しんどい時にお話できるようになりたい。
18歳
低予算で遊びにいける夏イベントとか知りたいです。 私より年齢が低くてユキサキチャットさんに頼ってる子達に、夏をトラウマにして欲しくないからです。
20歳
低収入の子供もいる家庭に安く勉強教える コミュニュケーションが苦手な人でも合流 出来る
14歳
私は片親なので金銭面で気を遣うことが多いので、勉強を無料で教えて欲しいです。
15歳
大きな金額を掛けず、夏休み中もどこかに定期的に通える場があればいいなと思います。これからの進路や将来へ向けての参考になるようなものに、なるべく親の説得が楽なコミュニティやコンテンツに所属したり、参加できたら楽かもしれないな、と思いました。
16歳
夏休み中、格安でお昼ご飯を提供してくれるようなところが近所に欲しい。エアコン必須で上がる電気代をなんとかしたい。
20歳
ボランティアや、遠出して学習できるサービスをおしえてほしい。 人生の先輩とはなしをしてみたい。
21歳
行きたい時にふらっと立ち寄れる居場所があるといい 同年代の人と関われる居場所が欲しい 色々な活動を経験できる場所が欲しい ブックカフェみたいな場所があるといい 話を聞いてほしい 読みたい本を読める場所があればいいのに
17歳

夏休み中、家も学校も頼れない若者たち

連日の猛暑で外で過ごすことも難しい季節、涼しいカフェやレストランに入るにしても、お金を払わなければ席につくことはできません。家や学校以外の選択肢として、お金をかけず安心して過ごせる空間を見つけることが若者にとっていかに大変かがうかがえます。

多くの若者が居場所の目的として「勉強」を挙げていることから、自分の人生を長期にわたって助けてくれる知識・学歴・経験を身につけることへの切実さが伺えますし、「お話を聞いてほしい」「いつでも行ける居場所が欲しい」という要望から、孤独・孤立を回避しようとする意思が見えてきます。

夏休み、学校も、家も頼れない若者たちに必要とされる環境をどのようにつくっていくか。社会との接点を、どのように紡いでいくか。D×Pではこれからも若者たちの「声」に耳を傾け、何ができるのかを考え続けていきます。

執筆:清藤千秋(株式会社湯気)/編集:熊井かおり

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